この日の能生の道の駅は雪景色に包まれていた。
まだ土曜の14時過ぎだったから、下道でのんびりと帰路についた。
海沿いの道を北上すると、日本海に白波が立っていた。
数年前に能生の道の駅で、建物の屋根の上にまで高く波が立っていたのを見たことがあるから、この日は穏やかな方だったのかもしれない。
吹雪いたり、晴れたりの気まぐれな天候で、沸き立つ白波と吹き付ける雪の白さが目に眩しかった。
この日は十日町まで出てから南下するルートを取った。
能生辺りで温泉を発掘したいね、と常々言っているのだが今のところ見つけることは出来ていなくて、この日も十日町にある千年の湯に立ち寄ることにした。
新しい施設で、入浴料600円の炭酸水素塩泉の源泉掛け流しだ。
この泉質には珍しく、加水も加温もなし。
温度も熱くて我々好みだった。
多少ぬめりけのある茶褐色の湯は、モール泉か強塩泉のような香りと肌触りだった。
よく温まり、湯上りは肌しっとり。
良い温泉にはいつまででも入っていたくなる。
今回の旅で立ち寄った温泉は、松代荘といい、この千年の湯といい、両方とも良かった。
湯から上がるとすっかり日が暮れていて、夜の雪道を、南魚沼から湯沢に抜けた。
三国では気温氷点下7度になった。
風が強いため真横から雪が吹き付ける。
さすがに雪深い。
スキー場の灯りが雪景色にぼんやり浮かんでいた。
冬は雪に包まれると、音と匂いがなくなるものだ。
吹雪いていたため、雪用ワイパーが曲がって、久しぶりに凍りついてしまった。
これまた久しぶりに車から降りて、ワイパーの下に固まった氷を取り除いた。
三国峠から水上までは、時速20kmで走行する車が道を塞いでいて、我々の前に4台が連なって走っていた。
さすがに4台一度には追い越せないし、クネクネの追い越しによるはみ出し走行禁止区間の続く山道。
おまけに一台ごとの車間がいい感じに詰まっていて、間合いを見計らって一台づつ地道に抜かす作戦も取れなかった。
一番先頭の車がようやくよけたと思ったら、2台目は時速25kmで走り出した。
仕方がないのでのんびりと構えることにした。
水上で雪はなくなり、気温も氷点下2度まで上がった。
ぶっちゃけた話、この年末年始の北海道旅では雪も少なく、温泉も魚介も、なんだか物足りなくて消化不良だったのだが、今回の旅でようやく満たされたような気がした。
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