早春の伊豆 河津へ
日曜日に河津桜を見にツーリングに出掛けた。
前回訪れた時にはまだ花は咲いておらず、今は既に見ごろを過ぎている。
丁度良い時期を逃してしまって残念ではあったが、念願の河津桜が見られるだけでも万々歳だ。
家を出た時刻が少し遅くなってしまい、海老名SAで休憩した時点で11時を回っていた。
この日は曇り予想だったが、日が照っている時間の方が長く気温は19度。
冬用のウェアでは汗ばむほどの暖かな陽気だった。
我が家はいつもタンデムでのツーリングだが、最近はタンデム用のシートを装着せずに出掛けることが多くなった。
キンメを食す
まずは河津の手前で少し遅いランチを食べることにして、昔一度だけ訪れたことのある網元料理徳造丸へ。
以前訪れた時には平日だったためそれほど混んでいなかったのだが、この日はお昼の時間帯が過ぎているにも関わらず行列ができていた。
名前を書いて順番を待つ間に、壁に所狭しと貼られた有名人の色紙に気がついた。
どうやらここ、かなりの有名店だったようだ。
15分ほどで席に通されると、以前は真ん中にあった生簀がなくなり、コロナ対策でテーブルが距離を置いて配置されていた。
今はどこへ行っても大抵はテーブルに置かれたタブレットから注文するようになっている。
この日は金目鯛の紅白二色丼と金目鯛の煮魚と刺身膳を頼んだ。
二食丼は、クチナシで染めた黄色いご飯の上に漬けと刺身が乗っていて、半分食べたらアゴ出汁をかけてお茶漬けにできる。
出汁が少し濃い気はしたが、とても美味しかった。
金目の煮魚は身がふっくらしていて脂も乗り、久しぶりに食べる静岡流の甘い味付けが懐かしい。
ずっと食べたいと言いながら、帰国して一年たってようやく食べることが出来、「もう一皿食べたい」とこどら。
丼も御膳もどちらも美味しくて、量も多いため大満足。
近くに来たらまた是非寄りたいお店だ。
河津桜
お店から河津までは15分ほどの距離だった。
前回見た辺りの川沿いの道には車やバイクを停めて桜見物をする人たちの姿があったが、見頃を過ぎているせいか人出は多くなく、のんびりとした雰囲気が漂っていた。
葉桜になっていたがそれでも十分見事だったし、河津桜は枝が低くて間近で花を楽しむことができた。
桜祭りで出ていた出店は、我々が散策している間に撤収作業が始まっていた。
濃霧と強風
帰りは途中まで海沿いを走り、天城から伊豆スカイラインを行くことにした。
どんどん日が長くなっていて、最近の日の入り時刻は18時前だ。
スカイラインの途中で辺りが暗くなり、日没を待っていたかのように霧が漂い始めた。
ここ数日で急激に気温が上がったせいだろうか。
進むにつれて霧はどんどん濃さを増し、とっぷりと日が暮れた暗い山道を覆い隠す。
最初はまだ良かったのだが、しばらく走ると1m先すら真っ白で何も見えなくなってしまった。
車で走っている時にもたまに濃霧に見舞われる事はあるが、もしかすると今回が一番の濃霧だったかもしれない。
我々の他に車はほとんど走っておらず、唯一前を走っていた1台が、溜まり兼ねた様子で我々に道を譲って止まってしまい、暗闇の中で白いベールに包まれながらの孤独なツーリングになった。
濃霧だけでも厄介なのに、春一番なのか強風が吹き荒れ、時折バイクに当たってきてはヒヤリとさせられた。
ヒュゴー、ゴー、という風のうねりを聞きながら真っ白な暗闇をひた走っていると、どこか異次元の世界にでも迷い込み、永遠にこの霧の中から抜け出せないのではないかという馬鹿げた想いすら脳裏に浮かぶ。
慎重にゆっくりと進んでいることもあって、いつもの倍くらい時間が掛かっているような気がした。
やっとの思いでゲートに辿り着くと、係の人から、
「お疲れ様でした。こんな天気なので、ゆっくり降りて行ってね」
と声を掛けられた。
ようやくスカイラインを抜けたと思ったのに、御殿場の街に降りるまでの山道の遠いこと。
乙女駐車場の辺りに出た時の安堵感はこの上なかった。
後ろのこどらは緊張が溶けたようで、
「よくあの濃霧から無事に生還できたね、えらい、頑張った!」
と喜んだと思ったら、
「ふー、あたしの現在のHPは38」
と弱音を吐いた。
二人ともすっかり疲れていて、どこかで温かいものを食べてHPを回復しようということになり、足柄で休憩してから再び帰路についた。(完)
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