県道へ戻り、気を取り直して先を進む。
と思ったら、古く固まった雪の轍が氷と化して道を塞いでいた。
こんな道で対向車が来たらどうするのかと心配したが、車の気配すらなく通り抜けることができた。
この道、雪の轍がなくなると松の枝が降り積もり、また雪の轍、という、自然のままの道だった。
抜けてしばらく走ると川に差し掛かった。
何気なく車窓を見ると、見事な岩の渓谷。
駐車場があったので降りてみることにした。
澄んで冷たい空気の中で、勢いのある水音がやけに大きく聞こえてくる。
水が透明で綺麗だった。
看板があり、読んでみると、ここは蝉の渓谷というらしい。
松尾芭蕉が奥の細道で詠んだ、
閑さや岩にしみいる蝉の声
という句の句碑が、この渓谷に望んで建てられたとある。
芭蕉が詠んだのは山形の立石寺の筈だが、この渓谷の情景を想わせる句であるため、後々誰かが建てた、ということなのだろうか。
散策路を歩いて見ると、確かに迫力のある岩だった。
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