フィアット500e(チンクエチェントイー)のインプレッション

フィアット500e

我が家にフィアット500eが来て2週間。

イタリア車の電気自動車はどうなのか、インプレを書きたいと思う。

走り

何より、なめらかで静か。

以前にも書いたが、将来的に車が地面から浮いて走るようになったら、こんな感じだろうかと思うほど、まるで浮いているように走る。

(もちろん道が悪ければ揺れる)

エンジンとは違いアクセルを踏んだときのレスポンスがダイレクトなため、加速が気持ちよく、パワーも十分。

床面にバッテリーが敷き詰められていて低重心のため、コーナリングが安定している。

ただこれらは500eの特徴というより電気自動車に共通の特徴かもしれない。

走行モード

走行モードが「NORMAL」「RANGE」「SHERPA」の3種類。

Normal(ノーマル)が普通のオートマ走行に近いモード。

ただしアクセルを離しても(エンジンブレーキがないため)普通のオートマのようには速度が落ちないため慣れが必要だ。

イメージ的にはアクセルを話した瞬間にニュートラルで走っているような空走感がある。

Range(レンジ)はワンペダル走行が可能となり、山道や坂道を走る時にも使用する。

アクセルを踏んで走り、緩めると減速、離せば止まる。

アクセルを緩めるときの減速感が強く、回生を積極的に行いバッテリーの減りを少なくして走行距離を伸ばすことが出来る。

ちなみに我が家では、街でも高速でも基本レンジにしている。

というのも、電気自動車は減速時に充電される仕組み(回生)。

ノーマルモードで止まるときにはブレーキを踏むが、ブレーキを踏むことはエネルギーを熱に変換しているということなので、回生して回収できる電気量が減る。

一方、ワンペダルの時にはアクセルを離すだけで止まり、その際のエネルギーが全部バッテリーに充電されるため、エコなのだ。

普段の街乗りで比較しても、我が家の場合には、ノーマルで20分走って5%消費するところを、レンジだと2パーセントくらいの消費に押さえられる。

あと、ワンペダルが圧倒的に楽だという点も、レンジを使う理由の1つだ。

最後のSherpa(シェルパ)は、ワンペダルかつ最大エコモード。

クーラーなども止まり、80キロ以上のスピードは出なくなる。

ちなみに、カタログでは走行可能距離は335kmだが、ノーマルだと満充電でも270くらい、レンジが280くらい、シェルパで309と表示された。

操作性

ハンドル、アクセル、ブレーキが軽い。

小さいから小回りがきく。

車の設定で、ブレーキを踏むもしくはワンペダルでアクセルを話して止まったときにホールドが掛かるようにできる。

ノーマルモードのときにクリープで前に進んだり、坂道発進で後ろに下がらないなど、安全上の理由からホールドをONにしている。

これは安全面で安心なのだが、駐車や車庫入れの時にいちいちホールドがかかってやりにくいという難点がある。

とはいえ車庫入れのときだけ設定を変えるのは大変なので、慣れるしかない。

高速走行

アダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシストがついている。

完全に任せられる訳ではないが、ハンドルに手を置いてスタンバイしているだけで良いためめちゃくちゃ楽だ。

ただ、高速は、一番エコの走行モードであるシェルパであっても電費が悪い。

減速がないため充電されないからだと思うが、エンジンの場合には効率の良い回転域で走り続けられるため燃費が伸びるが、モーターの場合はずっと一定駆動になるためだろうか。

充電

自宅には200vの充電器を取り付けた。

家の周りでレンジで走行している場合には、2週間に1度の充電でも大丈夫そうだ。

我が家の場合は1週間半乗った金曜日の夜に、土日に出かけるために満充電にしたが、70パーセントにしか減っていなかった。

充電時間は10時間だった。

なお、出先で宿泊施設以外で充電する場合には、30分ほどで充電できるらしい急速充電をする必要があるが、この急速充電のためのアダプターが日本にはまだ入ってきていない。

3月中の見込みという話しだったのだがまだ届かず、噂によると今年中は無理ではないかとも囁かれているようだ。

ただ、外で充電する場合にはカードを買わねばならず、月額費用を取られる。

カードがなくても充電できるのだが、その場合には操作が大変で、料金もかなりの割高になる。

家で充電して近所を回るには家計に優しいが、遠出するには一気にお得感が薄れるのが現時点での日本の電気自動車だ。

燃費の良いコンパクトカーに乗っているのであれば、ガソリン車からわざわざ電気自動車に乗り換えるメリットはないのかもしれない。

充電

画面操作

センターモニターがタッチパネルになっていて、スマホ画面のように操作する。

慣れれば使いやすいが少し煩雑な操作性だ。きっちりと安全機能や性能を使うには勉強が必須だ。

ちなみに、ハイテクなのにシート調整やミラーを折りたたむのは手動だ。

エアコン画面

車内

センターモニター下にスマホの充電スペースがあり、置くだけで充電できるのだが、ケースに入れていると充電できない。

とはいえ、わざわざケースから外すのは面倒。

充電できない状態で置いておくとLEDがチカチカ光るため、ただ置いておくこともできない。

それどころか、重さのあるものを置くとチカチカするため物置きにもできず、デッドスペースになっている。

そもそも小物を置いておくちょっとしたスペースがない。

肘置きの場所が物置なのだが、深いし、飲み物ホルダーと一緒になっているため使いにくい。

オプションで物入れをカスタマイズすることが出来るが、つけても良かったかもしれない。

後ろシートは大人が乗るには狭いエマージェンシー用。

後席との距離が近いため荷物を置いて取るには便利だ。

オープン

ボタン1つで、屋根だけが開くキャンバストップスタイルと、後ろまで開くフルオープンにすることができる。

キャンバストップであれば、開放感を味わえるが目立ちはしないため手軽。

キャンバストップを開けた状態の後ろ姿

フルオープンにするとバックミラーの視界が隠れてしまうのがたまにキズだが、幌が折り畳まれて後ろ姿がかっこいい。

フルオープン状態

総評

コンパクトで街乗りに向いているため、ちょっとそこまで買い物に行くには使い勝手が良いし、かわいい外見で愛着が沸くため、ドライブにも出かけたくなる。

家を建てた時には色々考えた末に結局ソーラーパネルはつけなかったのだが、EVを買ったことによっていずれソーラーパネルをつけたいとも思い始めた。

運転している時に、今電力を消費しているのか充電しているのかが一目でわかるし、使った電力がパーセンテージで簡単にわかるため、エコ走行に意識がいくようになる。

エコ=安全運転にもつながるだろうし、EVはなかなか面白いし、良い気がする。

選んでよかったと思える車だ。

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